保育士の給料が安いと言われ続けて何年になるでしょうか。「子どもが好きだから」と勧められて始めた仕事、でも気づけば手取り 17 万円、ボーナスも年 2 ヶ月分。「命を預かる仕事なのに、なぜこんなに安いの?」と疑問に思いながら毎月の給料明細を眺める保育士は少なくありません。

この記事では、保育士の給料が安い理由を 制度・構造・本音 の 3 視点から解説します。2026 年度の処遇改善(5.3% 賃上げ)の実態、転職の選択肢まで、現場で働く保育士の声を交えて書きます。

2026 年最新、保育士の平均年収は 407 万円

厚生労働省「令和 6 年賃金構造基本統計調査」によると、保育士の平均年収は約 407 万円。月収にすると基本給+手当でおよそ 28〜30 万円、ここから社会保険・税金が引かれて手取り 22〜25 万円。年 2 回のボーナスを足して 407 万円という計算です。

これは全産業平均(約 460 万円)と比べて約 50 万円ほど低い水準。10 年勤続しても他職種の新卒並みという声もあります。

さらに 地域格差が大きい のも特徴。東京都の私立保育園の平均月収は約 30 万円前後、地方都市だと 22-25 万円台のところも珍しくありません。

理由 1: 公定価格制度で給料の天井が決まっている

認可保育園の運営費は、国が定める 「公定価格」 によって決まります。子ども 1 人あたりいくらの補助金が園に入るかが国に決められていて、その内訳に「人件費」枠もあります。

つまり、園が頑張って利益を出しても、保育士の給料を一気に上げる原資が制度上限られている。「営業成績で歩合をもらう」みたいなインセンティブ設計ができない構造になっています。

保育士の給料は「市場価格」じゃなくて「政府の予算」で決まる。これが業界の現実。

理由 2: 業務量と報酬のミスマッチ

保育士の業務は、保育だけではありません。

  • 連絡帳の記入(1 日 20 人分以上)
  • 行事の企画・準備(運動会、発表会、季節イベント)
  • 保護者対応(電話、面談、連絡帳の返信)
  • 事務作業(書類作成、会議資料)
  • 環境整備(教室掃除、教材作り)
  • 持ち帰り仕事(製作物作り、行事準備)

これらが 勤務時間内に終わらない ので、自宅で続きをやる「持ち帰り業務」が常態化。残業代もつかない無給労働です。「お給料の何倍もの業務量をこなしている」と感じる保育士が多い理由はここにあります。

理由 3: 「子どもが好きだから」の精神論で押し切られる

保育士の養成校時代から、「子どもが好きだから保育士になる」「やりがいがある仕事」と教わります。これ自体は事実ですが、「やりがい」が給料を抑える言い訳に使われている 現実があります。

園長や経営者から「お金じゃない、子どもの笑顔が報酬だ」と言われて、給料交渉できない雰囲気に。本当に好きで始めた仕事なのに、その気持ちを理由に搾取されている保育士は少なくありません。

歴史的に「保育士=女性の仕事」「給料は二の次」という社会通念があった影響で、専門職としての評価が長く後回しにされてきました。

理由 4: 持ち帰り仕事の存在

運動会の小道具、発表会の衣装、卒園式のメッセージカード…保育士の家のリビングには、常に園の製作物が散らばっています。

家族から「また持ち帰ってるの?」と言われ、休日も削って作る。これが給料に反映されないのが業界の常識。「家でやってる作業」は労働時間としてカウントされない、もしくはサービス残業扱い。

理由 5: 行事準備で休日返上

運動会の前日の土曜日、発表会の前日の日曜日。本来休みのはずが「準備手伝って」と園長から呼ばれる。手当はつかない、もしくはわずかな手当のみ。

年間を通じて行事は無数にあり、季節イベントも合わせると 休日が削られる頻度が高い。家族との予定がいつもキャンセル、というのが日常になります。

理由 6: 保護者対応の精神コスト

モンスターペアレント問題は、保育業界も深刻。「うちの子だけなぜ?」「先生の対応が悪い」と毎週クレームが入る家庭もある。

園長から「保護者には絶対敬意を持って」と言われる中で、理不尽な要求を笑顔で受け流す。これは 感情労働の最たるもの ですが、給料には全く反映されません。

理由 7: 公立 vs 私立の大きな格差

同じ保育士でも、公立(公務員扱い)私立(民間) で年収が大きく違います。

  • 公立保育士: 平均年収 約 530 万円(地方公務員扱い、安定)
  • 私立保育士: 平均年収 約 380 万円(園の経営状況に左右)

公立は試験合格が必要で枠も狭い。私立にしか入れなかった保育士は、同じ仕事をしてるのに 150 万円差。「公立に転職したい」と思いながら、試験対策の時間が取れず諦める保育士も多い。

2026 年度、5.3% の賃上げで実際どうなる?

政府は 2013 年度から保育士の処遇改善に取り組んでいて、2026 年度は 人件費が 5.3% 引き上げ される予定。改善額の目安は年額でプラス 20 万円ほど。

ただし、この賃上げが 実際に給料に反映されるかは園次第。経営の苦しい園では、人件費に回らずに運営費に組み込まれることも。「賃上げのニュースは見たけど、給料明細は変わらない」という保育士も少なくありません。

もし賃上げが反映されない場合は、その園の経営姿勢を疑った方がいいかもしれません。

処遇改善加算 (Ⅰ・Ⅱ) の現状

国は処遇改善のために 「処遇改善加算」 という仕組みを導入しています。

  • 処遇改善加算 Ⅰ: 全保育士対象、月 5,000-8,000 円程度
  • 処遇改善加算 Ⅱ: 副主任クラス対象、月 40,000 円

ただし、処遇改善加算 Ⅱ は園内の対象人数に上限 があり、誰がもらえるかは園長判断。「同期で同じ仕事してるのに、加算もらえる人ともらえない人がいる」という不公平感も生まれています。

転職か、続けるか — 判断基準

給料が安いと感じた時、選択肢は 3 つ。

① 公立保育士試験を受ける

年収 150 万円アップが狙えるが、試験対策に半年〜1 年必要。30 代以降の受験は厳しい自治体も。

② 別の私立園に転職する

園によって給料に差があるので、より条件のいい園に転職。家賃補助制度がある園を狙うのも手。

③ 業界を変える

ベビーシッター、児童発達支援、企業の保育施設など、保育士資格を活かせる業界に転職。年収 100-200 万円アップの事例多数。

同じ職種の仲間と愚痴を共有することの大切さ

給料の安さは、保育士 1 人の問題ではありません。業界全体の構造問題。だからこそ、同じ職種の仲間と本音を共有する ことが、メンタル維持と業界改善の第一歩になります。

園内の人間関係でなかなか言えない本音、家族には伝わりにくい業務の辛さ、転職を考えても踏み切れない迷い…。これらを匿名で吐き出せる場所が、保育士には特に必要です。

グチトモには、保育士・教育カテゴリで毎日たくさんの本音が投稿されています。「うちの園長もこうだった」「持ち帰り業務、私もある」と共感し合える仲間が、ここで待っています。

今日もお疲れさまでした。明日もきっと、子どもたちの笑顔があなたを支えてくれます。でも、自分の本音は、自分のために吐き出していい。